宅建士の資格を取ったけれど、働けない事情から「名義だけ貸してほしい」と頼まれたことはありませんか?
または、会社から「名前だけ使わせて」と言われて戸惑っている方もいるかもしれません。
名義貸しは軽い気持ちで受けてしまいがちですが、じつは重大なリスクをともなう違法行為です。
このページでは、「名義貸しはバレるのか?」「どうやって発覚するのか?」といった疑問にくわえて、バレた場合の処分や再就職への影響、名義貸しを防ぐ方法まで、わかりやすく解説していきます。
宅建士の名義貸しとは

名義貸しの基本的な意味
宅建士の名義貸しとは、自分は実際に業務に関与していないにもかかわらず、名前だけを貸して不動産会社などに宅建士として登録されることをいいます。
たとえば、実務を行っていないのに「専任の宅建士」として名前を使わせると、それが名義貸しにあたります。
これは法律違反であり、非常に重大な問題とされています。
なぜ名義貸しが行われるのか
宅建業を営むには、事務所ごとに一定数の「専任の宅建士」を設置する必要があります。
しかし、条件を満たす人材がいないと営業ができないため、一部の会社では形だけ宅建士を置いて体裁を整えようとするケースがあります。
また、宅建士本人も「働かなくていいのに報酬がもらえる」といった軽い気持ちで応じてしまうことがあり、双方にメリットがあるように見えてしまうのが問題です。
宅建業法における名義貸しの禁止
宅建業法では、名義貸しを明確に禁止しています。
実際に業務に従事していないのに「専任の宅建士」として登録することは、不正行為とみなされ、宅建士本人にも重い処分が科されます。
たとえば、登録の抹消や業務停止処分に加え、場合によっては罰金などの法的責任を問われることもあります。
法令を守ることは、宅建士としての信頼を守るためにも欠かせません。
宅建士の名義貸しがバレる理由

名義貸しがバレる3つの典型ケース
名義貸しが発覚する主なパターンには、「実際に勤務していないのに在籍記録がある」「電話対応などで宅建士の不在が続く」「契約書類に名前があるのに本人が関与していない」などがあります。
これらはどれも、外部から見て不自然さが目立つため、疑念を持たれるきっかけになりやすいです。
行政の立ち入り調査による発覚
宅建業者は、行政から定期的に業務状況のチェックを受けることがあります。
この際、事務所に「専任の宅建士」が常駐していない、または本人と連絡が取れないといった事実が判明すると、名義貸しを疑われることになります。
調査では勤務実態や雇用契約書なども確認されます。
内部告発や同業者からの通報
実は、名義貸しが明るみに出るきっかけとして多いのが「内部からの告発」や「ライバル業者による通報」です。
社員や元従業員が不正を知って通報したり、競合他社が違法行為を見つけて指摘したりするケースもあります。
情報提供があると、行政も重点的に調査を行う傾向にあります。
宅建士の名義貸しのリスク

宅建士が受ける処分と罰則
名義貸しがバレると、宅建士本人には厳しい処分が科されます。
代表的なのは「登録の抹消」や「業務停止命令」で、重い場合は2年以上の業務禁止となることもあります。
また、虚偽の届け出に該当すれば罰金が発生するケースもあり、宅建士としてのキャリアに深刻な影響を及ぼします。
企業側の責任と営業停止リスク
名義貸しを行っていた会社側にも、当然ながら重い責任が問われます。
監督官庁によって営業停止や免許取消といった行政処分が下される可能性があり、実際に事業の継続が困難になる例も少なくありません。
信頼を失えば顧客や取引先との関係も破綻しかねません。
バレたあとの再就職への影響
名義貸しによって処分を受けた宅建士は、再就職にも大きなハンデを負うことになります。
業界内での信用が失われるため、宅建士としての復職はもちろん、関連職種への転職も難しくなることが一般的です。
処分歴は履歴書や面接でも問われるため、将来にわたって重いリスクとなります。
名義貸しはなぜバレるのか?

バレるまでの流れを解説
名義貸しがバレるまでには、いくつかのプロセスがあります。
まず、外部からの通報や内部告発がきっかけとなり、行政が調査に入るケースが多いです。
その後、事務所への聞き取りや書類の精査が行われ、宅建士の勤務実態が確認されます。
虚偽が判明すれば、名義貸しとして正式に処分が下されます。
監督官庁のチェック体制
宅建業者は、都道府県などの監督官庁によって定期的に監査や報告義務が課せられています。
専任の宅建士が実際に勤務しているか、勤務日数や時間は基準を満たしているかといった点が細かくチェックされます。
突発的な立ち入り調査もあり、常に適切な体制が求められます。
契約書や届出の不一致がヒントに
名義貸しが疑われる際には、提出された書類の内容が重要な手がかりになります。
たとえば、契約書に記載されている宅建士の名前と、実際に対応した人物が異なるなどのズレがあると不自然です。
その他、勤務日報や就業証明書との整合性も調査の対象となり、矛盾があると発覚のきっかけになります。
名義貸しをしないための対策

登録・雇用の管理体制を整える
名義貸しを防ぐには、まず会社側がしっかりとした管理体制を整えることが大切です。
専任の宅建士の勤務状況や出勤日数を正しく記録し、実態とズレがないよう確認する体制をつくりましょう。
形式的な登録だけでなく、実際に業務へ関与しているかどうかを継続的にチェックする仕組みも必要です。
宅建士証の貸し借りは絶対NG
宅建士証は本人のみが使用できる国家資格の証明書です。
他人に貸したり、業務に関与しないのに名前を使わせたりする行為は、名義貸しにあたります。
宅建士証は事務所内に掲示されることが多いため、管理も含めてルール化することが重要です。
本人の自覚と、会社の監督が求められます。
法令遵守の意識を高める方法
法令違反のリスクを回避するためには、宅建業法や関連制度について定期的な研修を行い、全社員の意識を高めていくことが有効です。
特に宅建士本人には、資格を持つ責任を強く認識してもらう必要があります。
勉強会の開催や社内テストなどを活用すると、実践的な理解が深まります。
まとめ
宅建士の名義貸しは、本人が業務に関与していないにもかかわらず、資格だけを他人に貸す重大な違反行為です。
行政の調査や通報により発覚することが多く、処分や再就職への悪影響も避けられません。
企業側も営業停止などのリスクを負うため、決して軽視できません。
日頃から法令を守る意識を持ち、正しく資格を活用することが信頼と将来を守ることにつながります。